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知財トピックス

職務発明ガイドライン説明会(2/3開催)に出席してきました
2016.02.04
本年、4/1から改正職務発明制度が施行されます。まず、改正職務発明制度の概要は、次の通りです。

1)特許を受ける権利の使用者等による原始的取得を可能とする。

注)法人発明を許容したわけではなく、発明者はあくまで従業者等

2)発明をした従業者等に対する報酬について、現行の金銭的な対価以外に、昇進や昇格などを含む「相当の利益」とされた。

注)現行法通り、金銭的対価だけで処理するという選択肢も残されている。

注)金銭以外の相当の利益の具体例

①使用者等負担による留学機会の付与

②ストックオプションの付与

③金銭的処遇の向上を伴う昇進又は昇格

④法令及び就業規則所定の日数・期間を超える有給休暇の付与

⑤職務発明にかかる特許権についての専用実施権の設定又は通常実施権の許諾

3)相当の利益を決定するときの考慮すべき状況についての指針(ガイドライン)が公表される。

今回のセミナーは、このガイドラインの案についての説明でした。この案に基づけば、相当の利益を決定するときの適正な手続は、次の通りとなります。

従業者と使用者の協議 → 相当の利益の基準の開示 → 決定された相当の利益に対する意見の聴取(異議申立を含む。) → 相当の利益の確定

これらの手続に関する適正な方法についても指針が示されておりましたので、詳細をお知りになりたい場合は、当所へお問い合わせください。

<私見>今回の改正で、特許を受ける権利の原始的使用者帰属が可能になった一方、これを採用する使用者側には、従業者との間で適正な手続きに基づく「相当の利益」の決定プロセスが求められます。 「協議」は、発明者足り得る従業者全員を対象としなければならず(従業者の適正な代表者でも可能)、基準の「開示」については、対象の従業者全員がアクセス可能な方法でなければなりません。一旦基準化(決定)された相当の対価についても、「意見の聴取等」を経て最終確定する必要があります。これらのプロセスについては、使用者側の手続負担が大きくなるものと推察されます。今回の職務発明改定の目的は発明の奨励にあるわけですが、上記手続や相当の対価の確定の困難さが原因となって、特許出願の社内ハードルが高くなり、引いては出願件数が抑制されるようなことも起こり得るとすれば、それは本末転倒の何物でもないという印象を持ちましたので、このようなことが起きないように、使用者と従業者が理解を深め、円滑に進める必要があると感じました。