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KUNPU NEWS

2017年1月号のKUNPU NEWSをアップしました。
2017.01.30
特許異議申立制度が平成27年に再び創設され、約1年が経過しました。特許庁の調査によると、平成27年度の特許無効審判は166件で前年度比36.9%減であった一方、特許異議申立は684件で、さらに平成28年8月には累計1,000件を超え、今後も増加すると思われます。

その理由としては、特許無効審判の請求人適格には「利害関係性」が求められるのに対し、特許異議申立は「何人」も申し立て可能となっていること、そして、申立人側の対応負担が軽い等、ユーザの利便性が高いことが考えられます。例えば、特許異議申立は全件書面審理で行われ、申立人が口頭審理へ呼び出されることは原則ありませんし、また申立後は、原則として特許庁と特許権者との間で審理が行われます。

さらに、従前の特許異議申立制度では審理中に申立人に意見を述べる機会が与えられなかったのですが、今回創設された特許異議申立制度では、さらにユーザの利便性を向上させるために、申立人には訂正請求に対する意見を述べる機会が与えられることとなりました(特120条の5第5項)。

ただし、この意見を述べる機会は、権利の早期安定化のため、特許権者から訂正請求があった場合に限られています。より具体的には、申立人が、特許異議申立書に意見書提出の希望の有無に関して「希望あり」と記載し、かつ合議体が意見の機会を与える必要がないと認められる特別の事情がある場合(例えば、誤記の訂正や一部の請求項の削除のみ等)を除いて、意見書を提出することができます。

しかしながら、訂正請求に対する意見書提出の機会が申立人に与えられた場合、この意見書の提出期間は短く、申立人への訂正請求書の副本の送付後、原則30日、在外者50日です。これは、特許権者に対する意見書提出及び訂正請求の期間が原則60日、在外者90日であるのに比べると約半分の期間です。現状、この訂正請求書の副本の申立人への送付は、特許庁内の処理の関係上、特許権者の訂正請求及び意見書提出から約1ヶ月後になされているようです。従って、少しでも意見書作成の検討に時間的余裕を持つためには、特許情報プラットフォーム等で特許権者の訂正請求の動きについて確認しておき、訂正請求が行われた場合には速やかに訂正請求書の取り寄せを行い、その内容の確認を行うことも有効な一策です。

また、意見書提出の際には、新たな証拠提出にも制限があります。この意見書提出期間には、申立人は、「訂正の請求の内容に付随して必要となる証拠等」を提出することが認められます。一方、「訂正の請求の内容に付随しない新たな証拠」は取消理由を構成する証拠としては採用されません。しかしながら、申立人は「訂正の請求の内容に付随する」と考えられる証拠については、その提出を迷った場合であっても、後悔することがないように提出しておいた方がよいでしょう。

申立人の立場では、以上の点に注意しつつ特許権者の訂正に対する意見書の提出機会を有効に活用することが大切と考えます。