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KUNPU NEWS

2013年4月号のKUNPU NEWSをアップしました。
2013.04.16
本号の特集記事 ~2011年改正米国法の「先発明者先願主義」について~

唯一先発明者主義を採用していた米国が、その「先発明者主義」に代えて、2011年リーヒー・スミス・米国発明法により、「先発明者先願主義(first-inventor-to-file system)」を導入しました。これにより、先後願の判断は、原則的に「有効出願日」が基準となりました。「有効出願日」とは、米国出願日、優先権主張日、国際出願日のうちの最先の出願日です。例えば、日本出願を基礎に優先権主張してPCT出願した場合、日本出願日が有効出願日となります。
改正された現行法の「102条」では、公の使用や販売を含めた世界公知主義となりました。また、発明者自身の発表から出願までのグレースピリオドは1年(102(b)(1))であり、さらに発明者等が公知にした後の、他人の先願・発表は先行技術とならない(102(b)(2))こととなりました。また、Hilmer Doctrineの廃止により明細書の記載は外国優先日から後願排除効果が認められる(102(d)(2))こととなりました。
そして、米国の「先発明者先願主義」は、日本や欧州等が採用している「先願主義」に近づけたものでありますが、この「先願主義」とは少し異なります。米国の「先発明者先願主義」には、「先願主義の例外」として、現行法の「グレースピリオド(発明の開示が有効出願日前1年以内)」がありますので、この「グレースピリオド」について注意が必要です。
従来の「グレースピリオド」では、発明者が発明を開示し、開示後1年以内に出願した場合、出願前の他人の先行技術が引用されなければ、原則的に、発明者は特許を受けられることになっていました。
これに対し、現行法の「グレースピリオド」では、発明者等が、発明を開示した後、1年以内に出願すれば、その1年の間に生じた他人の発明の開示や出願を克服して特許を受けられることになります。言い換えると、先願の有効出願日前に発明が発表されていれば、後願であっても、当該発明は、原則的に特許になります。なお、「発明者等」とは、発明者又は共同発明者、発明者又は共同発明者からその技術主題を直接又は間接的に得た他の者です。
また、現行法では、従来あったインタフェアレンスを廃止し、代わりに冒認手続きを導入しました。従来の先発明者主義では、インタフェアレンスを通じて最先の発明者を決定しなければならず、この発明日を証明するための証拠を記録し続ける必要があり、多大な負担がありました。このインタフェアレンスが廃止されることで、この点が軽減されます。
ところで、日本の「グレースピリオド」は、あくまで救済措置であり、先願の例外又は出願日の特例ではありません。このため、日本では、発表から出願の間の、他人の先願・発表は先行技術として引用されます。具体的には、発明者が発明を発表し出願した場合、発表から出願の間に、他人が同一の発明を出願や発表した際には、発明者の出願は、原則、29条の2違反や新規性・進歩性違反にて拒絶されます。
本件に関する102条は、2013年3月16日以降の有効出願日の出願に適用され、またこのグレースピリオドの在り方を先進国で調和させようとする動向もあるので、今後ともこれらをチェックしたいと思います。