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知財トピックス

後知恵による進歩性判断に対抗するために・・・
2014.12.18
特許出願の審査は、特許出願時の技術常識や技術水準に立ち戻って行われるべきものですが、早期審査の場合を除けば、当該特許出願日から数年(例えば5年)を経たのちに行われるのが一般的です。技術は日進月歩で進歩しているわけですから、出願から時を経て行われる審査の時には、当該発明のレベルが低く見えてしまうのは必然です。加えて、審査官は、当該特許出願の明細書を読み、その目的、課題、効果等を知った上で、先行技術と本発明とを比較等するのですから、「当業者が容易に想到できたのではないか」という心証(進歩性を否定する心証)を抱いてしまうのも仕方がないと言えます。つまり、いわゆる「後知恵」による進歩性判断が生まれるわけです。

そこで、この後知恵による進歩性否定の判断を回避するためには、1)従来技術にはない目的、課題を有していること、2)従来技術とは異質な効果や顕著な効果を奏すること、3)阻害要因があること、などが重要と思います。

仮に、二つの先行技術A、Bがある場合、これらを組み合わせてA+Bとした発明を想定すると、本発明がこれらの先行技術と目的や課題が同じで、効果も予想される範囲の程度であれば進歩性が否定される可能性が高くなります。しかし、本発明A+Bによって解決できる課題が従来技術A,Bにはない新しい課題であったり、効果も異質、あるいは顕著なものであれば、従来技術とは全く違う新しい着想の基に創出された異種あるいは別系統の発明であるということが主張可能となります。さらには、AとBを組み合わせることに対して当業者が予測する技術的障害やマイナスの側面があるなどの阻害要因があれば、さらに進歩性をクリアできる可能性が高くなります。

なお、早期審査制度を利用すれば、出願と審査が時を経ないので、論理的には、後知恵判断の傾向を弱めることができると言えると思いますが・・・・・。