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知財トピックス

事業の多角化、集中、育成
2016.08.02
高度成長期において、日本の企業は多かれ少なかれ「多角化経営」を行ってきたと言えます。しかし、バブル崩壊を経ても多角化経営の清算や反省を十分に行わなかった企業は今も不採算部門を抱えたままの経営を強いられています。この多角化経営の難しいところは、すべての事業がすべて好調で、利益を生む状況にはなかなかならず、会社内でお互いの事業の利益を支え合う構図を根深く醸成してしまうことです。例えば、不採算事業の赤字を他の成長事業の利益で支える構図が典型です。このような構図は、会社内に不満や甘えの体質を生みます。また、競争の激しい成長事業で稼ぎ出した利益が他の不採算事業の補てんに使われてしまうため、成長事業を加速するためのアクセルを踏む力が弱くなってしまい、より大きな成長のチャンスを逃してしまうことになります。そして、シェア1位の事業も育ちにくいでしょう。

最近、新薬メーカーが特許切れ医薬を後発医薬企業に売却して、新薬に必要な研究開発費をねん出しようとする動きや医薬の絞り込み、あるいは大手家電メーカーなどにおいて不採算事業の売却を大胆に行なう動きが益々顕在化しているようです。このような動きは、一言では多角化から利益の出せる事業の「集中と選択」への経営方針転換と言えます。これは、日本企業のビジネスは今やグローバル化し、世界の企業と戦っていくための強い体力が一層求められているからであり、多角化経営を維持していく余裕がなくなっているからと考えられます。

このような状況下、現在の利益の視点だけで事業を集中し過ぎるのも問題です。集中特化した事業が予想もしなかった荒波に将来襲われないとも限らないからであり、もしそうなれば一気に経営破たんとなってしまいます。例えば、液晶分野がこれだけスマートフォンに支配されるとは誰が予測できたでしょうか?

企業には、現在の利益事業を重視しつつも、将来の利益を生むことが期待される成長確実な事業を、目下赤字であってもしっかりと育てていく根気強さが求められていると思います。